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2005年スペイン紙掲載
文化庁芸術祭大賞受賞
文化庁芸術祭優秀賞受賞
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2005年3月1日更新
 
鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団
「ARTE Y SOLERA 歓喜」
平成16年度文化庁芸術祭舞踊部門大賞受賞のご挨拶


 この度、大変に大きな賞を頂き感激とともに恐縮しております。
 私たちはこれまで日本の伝統芸能や他ジャンルとコラボレートした創作作品と、純フラメンコ(プーロ・フラメンコ)作品の上演、この「両輪」を大切に活動してまいりました。東京で3回の再演を重ね、昨年のフェスティバル・デ・ヘレスでの上演に至りました。「FLAMENCO 曽根崎心中」は、そうした活動における一つの集大成でありました。その後、次なる展開をスタッフ、関係者と考えたとき大方の意見が「FLAMENCO 曽根崎心中」のような新しい創作作品を、というものでした。しかし、創作作品はただフラメンコに合いそうな物語を探してきて、毎回、手を変え品を変え行えるようなものではありません。自分たちの求めるものと、その物語なり作品の精神性とが完全に一致して響き合った時初めて、「これを踊りたい!」という強い欲求のもとに、必然性をもって創作されるべきものなのです。
 能との融合作品で芸術祭初参加でもありました「レモン哀歌 〜智恵子の生涯〜」など、これまでの創作作品はいずれも、作品との、また人との不思議な「縁(えにし)」によって生まれたものでした。特に「FLAMENCO 曽根崎心中」では阿木燿子氏、宇崎竜童氏との幸福な出会いの下、素晴らしいミュージシャンとスタッフとともに、何か・・運命に導かれるようであったことを記憶しております。
 こうした流れの中で今回私たちの自然な創作の欲求は、プーロ・フラメンコという枠の中で、これまで追求し培ってきたものを、究極の形で表現したいというものでした。それを伝えたところあるスタッフからは、外国の民俗芸能をそのまま作品にするということは、日本の観客にとって、本場スペインのものを日本人が学んだ「発表会」でしかない、との苦言も受けました。確かに、一曲一曲が独立した性格を持ち、小宇宙として存在する曲を羅列していく純粋なフラメンコ公演よりも、創作作品はその題材の持つストーリーに導かれて、明確なメッセージが伝わりやすく、わかりやすいものです。しかし私たちは、スペイン・アンダルシアの民衆の精神が生み出したフラメンコに大きな敬意を抱きながら、日本の芸術文化の素晴らしさ、私たち民族の喜び、悲しみ、痛み、日本人としての誇りを、そして人間として生を受けたものの絶望と歓喜を私たちの踊るフラメンコに託し表現すれば同じ感動を持ってもらえるはずという信念のもと、「一に極まれば万に通ずる」を信じ、体現すべく今回の上演にいたりました。結果、これまで常に私たちと一体となって舞台づくりをして頂きました、照明の井上正美氏、美術の江頭良年氏、音響の金田幸久氏そして舞台監督の赤木知雅氏ほかすべてのスタッフの尽力のもと、そしてスペイン人ミュージシャンたちの力演の賜物で、総合芸術としての評価を頂き、芸術祭大賞を受賞することが出来ました。
 この作品を語る上で特筆したいのは、歌い手のアントニオ・デ・ラ・マレーナ“エル・マレン”とその息子でギタリストのマレーナ・イーホです。彼ら親子は私たちの作品において、単なるバックミュージシャンではありません。 彼らとは非常に相性が良く、仕事を離れても個人的なお付き合いをさせてもらっております。時には寝食を共にし、フラメンコ、またそれ以外の生活の、人生の機微をともに共有しております。芸術を生み出す創作活動の根本は基本的には大変孤独な作業であり、またそれに徹しなければなりません。「みんなで一緒に」ではありえません。しかし今回の作品は彼らとの交友なしにはありえませんでした。作曲から歌詞の選定に至るまで、長い年月をかけ共に過ごしてきた日々の蓄積を一気に爆発させ、芸術共同制作集団として作品づくりに励むことができました。またこうした中で通常踊りで演じられることの少ない、またはまったく無かった曲でありますセラーナ、ファンダンゴ・ポル・ソレアなどの曲が生まれました。彼らに、またこの出会いに心より感謝しております。
 秋には今回の受賞作品を携え、スペイン、アンダルシアを巡回公演する予定です。この作品の旅はスペインの観客、中でもアンダルシアのたくさんのおじいちゃん、おばあちゃん達、・・つまりフラメンコを生んだ人達に観てもらう事によりひとつの終着点へと到達します。誤解を恐れずに言えば、私たち日本人がテレビで演歌を上手に歌う外国人を観た時、感心はしても、美空ひばりや北島三郎が歌うものを聞いた時と同様の感動はありえません。それはフラメンコにおいて、ひるがえって自分たちに返ってきます。しかし、スペイン人、日本人を超越し人間としての魂の故郷(ふるさと)を表現できればそれは超えられると信じます。私たちはスペインやヒターノたちの民族性に最上の理解と畏敬を払いながら、民族性を超えた感動を与えられるような舞台に挑戦したいのです。魂のありかから発した聖なる響きが、またその場所へと遠い木霊(こだま)となって帰ってゆくような・・そのようなフラメンコを、作品を創り続けてゆきたいと思います。
 頂いた賞の名に恥じぬよう、舞踊団一同さらに精進して参ります。これからもご指導、ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

鍵田真由美・佐藤浩希
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